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人の話を聞くということ

こんにちは。松阪市の海住さつきです。

17歳、高校3年生の時に、近所の5歳の女の子の家庭教師をしてほしいと頼まれて以来、

ずっと教える仕事を続けてきて思うのは、

 

教える=相手の話をとことん聞く

 

ということ。

 

先生の方が何か質問して、

生徒がそれに答える形式で、

本当のことがわかったためしがない。

 

生徒の本音、

一番言いたいこと、

おそらく、生徒自身も口にするまで意識していなかった本音は、

授業の終了5分前くらいのぎりぎりにポロっと口にしたことをずーっとたぐっていって、

行きつ戻りつ、

あーでもないこーでもないを繰り返し、

誰もいなくなった教室で、

帰りの電車ある?なんて言いながら、

あと5分、もう5分と、

延長、延長していって、

先生の残業時間的にいうと、

超ブラックな働き方になったくらいの時に、

ようやく、まとまった話が出てくるもの。

 

人間の考えていること、

特に、

人生を決めるような大事な話や、

家族にも簡単に口にすることができないような深刻な悩みは、

アンケート形式で事務的に出てくるわけではない。

 

私は、

教育の現場で一番大事なことは、

 

待つこと

 

だと思う。

 

とにかく、生徒の側から言葉が出てくるのを待つ。

ただじっと待つだけではなく、

まずは、

この人になら話してもいいと思ってもらえる信頼関係を築かなければならない。

 

それに、

3年くらいかかったりする。

 

話しやすい雰囲気をつくって、

おしゃべりする場をセッティングすることを99回繰り返し、

ずーっと空振りだったのが、

100回目に「実は・・・」という話になったりする。

 

教育は、

とにかく、待つことが大事。

そして、

生徒のペースを尊重すること。

 

先生側のスケジュールの都合で、

「〇月〇日〇時に時間取るから、そこで詳しいことを5分以内でまとめなさい」

なんて具合にはいかないものだから。

 

そうすると、

先生側にも覚悟がいるし、

学校としても、

先生にそれだけの時間を確保できるだけのゆとりをあげなければならない。

ひとことで、

生徒の本音を聞く、

生徒の意思を尊重すると言っても、

実際は、

先生の事務作業軽減から、

現場重視の組織づくりまで、

とてつもない改革が必要。

 

同じことが、

福祉の現場でもいえる。

助けてもらう立場の人は、

「やってもらっている立場で自分の意見を言うなんて申し訳ない」

と思っているので、

なかなか本音を言わない。

そのために、

本当にほしい支援が受けられなかったり、

これはちょっといらないなあ、と思っている支援を無理やり受けていたり。

何かあったらケアマネさんに言ってくださいねと言われているけど、

ケアマネさんも担当している人は自分以外にもたくさんいて、

きっと忙しいだろうなあと思うとなかなか言い出せなくて、

でも、やっときっかけができて、ちょっと話してみたら、

ケアマネさんは、ごめん、あと5分で次の担当に行かなきゃいけないの、とあたふたと去って行く、みたいなことの繰り返し。

福祉の現場でも、教育の現場と同じく、

帰る5分前にポロっと本音が出て、

それを5分でまとめるのか、

それとも、次回にフォローするのか、

聞かなかったことにするのか、

いずれにしても、

人の話を聞くというのは、

本当に手間がかかるし、

終了時間が決まっている中ではなかなかできないこと。

 

今までは、

働く側がボランティア精神で、

時間外を度外視して生徒や利用者さんに向き合ってきたから何とかなってきた。

でも、働き方改革が本格的に言われる中、

残業手当なしで、とことん相手の話につきあってくださいとはなかなか言えない。

だけど、

時間きっかりに終わってくださいと言っていたら、

永遠に相手の話は聞けない。

 

教育・福祉のような、

直接、人と人とが向き合うことが不可欠な現場、

真心や愛情が必要な現場は、

とにかく、

先生やケアマネさんなど、働く側の人たちの負担を軽くし、

人の話を聞きますよ、というゆとりを持ってもらうことから始めなければならない。

 

現場の改革は、働く人の働き方改革から。