私の志

「何かあった時の責任問題」で子どもの教育からたくましさが失われていく

こんにちは。松阪市の海住さつきです。

夏休みといえば、プール。

子どもたちは大好きです。

暑い夏、プールに行って体力を使い、

家に帰っておとなしくお昼寝してくれると、

親としてもありがたい。

学校がないと、体力が有り余って、家の中で騒ぐので、

プールに行ってほしいと思っている保護者の方は多いはず。

 

夏休みのプールは、松阪市では「地区水泳」と言って、

PTAが学校のプールを借りて、

保護者が運営し、交代で監視員をしています。

 

私は松阪市消防団の団員として、

毎年、地区水泳のための保護者の講習を担当してきました。

親が講習を受けないと、

子どもは地区水泳に参加できないので、

講習参加は、いわば強制で、

PTAの集まりと同じ日に行われることも多いです。

 

とても積極的に講習に参加し、心肺蘇生法をマスターしていただける保護者の方も多いですが、

中には、会場に来たけれど、実習はやりたくない、

説明も聞きたくない、

早く帰りたい、という非協力的な方もいて、

そういう方にも心肺蘇生の大切さを知ってもらい、

少しでも体験していただくためにはどうしたらよいか、というのは、

消防団の毎年の課題でもあります。

 

さて、そんな地区水泳ですが、

ついに、取りやめる小学校が出てきました。

地区水泳を取りやめる理由はさまざまです。

プールが老朽化した、

昨年のように猛暑になるとそもそも暑すぎてプールが中止になる、

監視員など親の負担が大きい。

ですが、一番大きな理由は、

 

何かあった時の責任問題。

 

「子どもたちにもしものことがあった時、誰がどう責任をとるのか」

 

教育現場は、常に「何かあった時の責任問題」を問われ続けてきた現場。

決して、現場の「責任逃れ」ではない。

もしもの時に、誰がどう責任を取るのか担保できない冒険はできない、

だから、石橋を叩いても渡らないこともあるということです。

 

こんなお話を聞きました。

小学校で餅つきをしようということになり、

地元の人たちが、有志で、杵と臼を子ども用にしつらえて、

もち米を蒸して学校へ持っていき、

餅つきの準備をしていたところ、

校長先生が、

「検便をしていない方は餅つきに参加できません」

と言ったため、

地元の方たちが全員帰ってしまった。

たしかに、食べ物を扱うので、衛生管理は重要。

だけど、それを、「検便」という検査で一律に管理し、

しかも、当日になってそれを一方的に言うということで、

「今頃そんなこと言われても検便なんてできないじゃないか」

という怒りを買うことになり、

せっかくの地元の方の好意が無駄になってしまったという残念な結末になりました。

 

地区水泳のいいところは、

長い夏休み、子どもたちが、親の目の届かないところで、

自分たちだけで楽しむことができるということ。

40日間、一日中、親子が一緒にいるということは、

決してパラダイスではなく、

親にとっても子にとってもなかなかしんどいことで、

たとえ、一週間であっても、

自由に水の中で動くことで、

子どもは体力的にも精神的にも成長していく貴重な体験。

もちろん、

プールの管理はどうするのか、

素人の保護者の監視で本当に安全なのか、

プールで病気になることもある(結膜炎など)、

など、問題はありますが、

子どもたちにたくましくなってほしい、

そのためには、プールで泳ぐ機会を与えてあげたいと思うのであれば、

それを実現するために、

できることを考えていくのが教育なのではないでしょうか。