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大学入試の英語民間試験導入に反対する理由

こんにちは。令和元年松阪市長候補、海住さつきです。

2020年度より、今の大学入試センター試験の代わりに「大学入学共通テスト」が始まり、

英語に関しては、民間の試験が活用されます。

つまり、大学入試を受けたければ、英検受けなさいよということです。

その理由をめちゃくちゃざっくり言うと、

今までのセンター試験だと、英語を読んだり聞いたりする能力は測れたけれど、

しゃべる能力はみることができなかった。

でも、これからの世の中、やっぱりしゃべれる力も必要。

本当は、各大学が独自の入試でしゃべる力もみていければいいんだけれども、

いろいろ大変だから、

アウトソーシングしましょう、

今までノウハウの蓄積のある民間の英語検定試験におまかせしましょうということ。

 

英語の能力を、

なるべく、書く・聞く・読む・話すの4能力すべてについてみようという考え方は間違ってはいない。

だけど、

長年、英語専門塾をやってきた私、海住さつきの意見は、

 

大学入試の英語を、民間の英語検定試験に丸投げするのは大反対。

 

理由は、シンプルで、

 

高校の教科書を勉強するだけでは、民間の英語検定試験の対策にはならないから。

 

今まで、30年間にわたって、

ずーっと英語の専門塾で、

学校の授業だけでは入試で戦えない高校生を指導してきた経験から、

高校の英語の教科書をたとえ100%習得したとしても、

英検などの試験に通ることはまず無理だと断言できます。

 

例えば、英検は、正式名称を「実用英語検定試験」というのですが、

その名の通り、

「実用的」な英語力を測るテストなので、

アカデミックな内容に偏りがちな教科書に比べ、

時事的な内容の英文が出る確率が高い。

ですから、

英検対策としては、

学校の教科書では出ないが英検に出る単語、

たとえば、

環境、ビジネス、コンピュータなどの分野の単語を覚えさせるわけです。

 

作文に関しても、

学校の英作文は、

採点のしやすさという観点から、

与えられた単語を並べ替えなさいとか、

次の日本語を英語に直しなさいといった、

「どこかで覚えた英文を再現する力」

をみる問題になりがちなのですが、

英検の場合は、

段落の構成力からみる形式なので、

そもそも、

どのような内容にするのか、から自分で組み立てていかなければなりません。

そういう英作文は、

ものすごく採点が大変なわけです。

だから、学校では、ほとんどがっつりやる先生はいらっしゃらないので、

塾の出番になるわけです。

私は、生徒の英作文の添削には、

完全個別でつきっきりになるので、

英検前は、

土日のほとんどを英検対策にあてていました。

 

話す力をみる面接対策はもっと大変で、

完全マンツーマンでやらないと無理なので、

1クラス30人の生徒全員にそれをするのであれば、

相当英語の先生を増やさなければ無理。

 

まとめると、

  1. 学校の教科書で教える単語と、民間の英語検定試験に出る単語は、基礎レベルなら違いはないが、級が進むにつれて違いが出てくる。
  2. なので、学校の教科書だけを勉強しても合格しないということになる。
  3. 大学入試は、高校での勉強の成果をみるものであるべき。
  4. 本来目的の違う民間の英語検定試験の対策を、大学入試対策にいれるのは、生徒にとって負担になる。
  5. 学校の英語の授業では入試対策には足りませんということを、国をあげて認めることになる。
  6. おそらく、学校の英語のテストが、「英検対策」とイコールのようになり、英語の授業がつまらなくなります。
  7. 小学校から英検を受ける子どもが増えるでしょう。

昔から、英語を中高6年間勉強しても全然しゃべれるようにならないといわれ、学校の英語は役に立たないというのが大人たちの実感だった。

なので、もっと会話を入れましょうということで、

教科書も会話が主になり、

昔のように長くて難しい文章を日本語に訳しましょうという形式はなくなった。

そのこと自体はよかったと思う。

ですが、今度はその反動で、

なんとなく楽しく会話しましょうというだけではやっぱり英語力は上がらないから、

4能力をちゃんとみましょう、

そのために、大学入試から変えましょうということになった。

でも、よくよく考えたら、

テストを作ることも大変だし、

50万人といわれる受験生一人ひとりに英語の面接試験をするなんてとてもできっこない。

だったら、みんなが受けてるといわれる英検に頼っちゃえ!ということになったんだろう。

 

途中までは、いい流れだったんだけど、

テストを丸投げしちゃったあたりで、ダメになった。

本気で英語教育改革するんだったら、

そこをなんとか持ちこたえて、

英語の授業まで改革してほしかった。

 

 

かわいそうなのは、

2020年度にはじめて受験する高校生たち。

初年度の子たちは、

いわば、実験台にされるわけで、

それをもとに、改善していくんだろうけど、

英語だからなあ、

文系、理系をとわず、

英語はほぼ、全員の受験生が受ける科目だから、

影響は大。

受験料が高いとか、

地方の子に不利とかいわれているけど、

それ以前に、

学校の教科書をやってるだけでは通らない試験に頼っちゃだめだと思う。

 

中高生のための個別指導の英語専門塾 

アート英語学苑 海住さつき