こんにちは。松阪市の海住さつきです。
平成31年1月17日、JA三重健保会館において、
白猪山に風力発電事業を計画している事業者の環境影響評価準備書について、
知事に答申するための最後の話し合いが行われました。
簡単にいうと、
正式なルートで地元住民の意見を県レベルでとりあげてもらえる最後の機会。
前回の聴取会で、県の担当者が「傍聴大歓迎」と広報してくださったせいか、
本日の傍聴人は10名程度。
委員は、大学の先生などの専門家12名で構成されており、
事業者側からは、リニューアブル・ジャパン株式会社、株式会社ベックセントラル、日本エヌ・ユー・エス株式会社、株式会社鳥羽測量設計、
幹事として、県職員の方が並ぶという布陣。
これはプロフェッショナルな話し合いがされるのだろうなあ~と期待していたところ、
最初に事業者が、
住民説明会の時とまったく同じように、
長い長い「質問に対する回答書」というのを読み上げ始め、
しらけた雰囲気に。
1時間経過したところで、さすがにしびれを切らした委員長が、
「簡潔にお願いします」
と注意。ようやく朗読が終わりました。
事業者の説明が終わると、
委員ひとりひとりが事業者に質問を。
全員が大学の先生だからか、
質問というよりは、
宿題の答え合わせをしているような雰囲気で、
聞いていてとても勉強になったし、おもしろかったですが、
核心には迫れなかった感じがしました。
具体的に、
住民説明会では出なかったような話も出ました。
例えば、
シャドーフリッカーが発生したらどうするの?との問いに、
「地元と協定書を結び対応します」。
どう対応するの?との問いに、
「樹木を植えたり、カーテンを設置したりして、シャドーフリッカーが見えないようにします」。
は?
それでは、太陽の光が部屋に入らなくなるんじゃないですか?
シャドーフリッカーが出たら、風車を止めるのが筋なのでは?
との委員の先生のつっこみに、傍聴席一斉にうなづく。
生物や環境の専門家の先生たちに、
住民説明会と同じ回答をしているので、
素人の私が聞いていても「それは勉強不足だよなあ」と思う場面が頻発。
質問に対する回答で多かった答えは、
「他の事例を参照すると○○・・・」
事業者のいう「他の事例」とは、
県内のほかの風力発電事業の環境影響評価のことだそうで、
ほかでよかったからここでもよいということにはならないと指摘され、答えに詰まる場面も。
また、「専門家や有識者の意見を聞いて検討します」
という回答に対して、
「専門家や有識者とは例えばどんな人ですか?」という質問が飛び、
「設計のコンサルタントの意見や、インターネットで検索して出た論文を引用している」。
う~ん、今、ここで質問している先生方も有識者なんだけどなあ・・・
委員の先生からは、
「地元の方たちも専門家なんだから、彼らからも聞き取りしたほうがいい」
とくぎをさされていました。
知事答申は、2月18日が締め切り。
それまでに答申書をまとめなければならないのに、
「検討します」
「直します」
などと返事した案件が山ほどあり、
全部を二週間でやるのは物理的に不可能だよなあ・・・
このまま、うやむやにするんだろうか・・・と傍聴席からはため息が。
地元に詳しくない事業者が手掛けているので、
地域特性を全然把握しておらず、
地質についてかなり細かく調べて作られた地図があることも、
知らなかった様子。
全体的に、
抽象的な答えに終始していて、
この会社に専門家はいないのかも?と心配に。
例えば、
「地球温暖化になるとなぜ雨が増えるのか?」
という先生からの簡単な質問にも、
笑いながら
「わかりません」
と即答。
地球温暖化を止めるために再生エネルギーに取り組むというのが、会社の理念のはずなのに。
最後に、「事業全体を踏まえて、
風力発電事業を始めるためのすべての工程で出るCO2と、
風力発電で発電することができることによって削減されたCO2と、どっちが多いのか計算したのか?」
という問いが出て、
会はお開きに。
松阪飯南ウィンドファーム発電所の風力発電事業について、
かなり何か月も前から説明会にはたびたび参加してきましたが、
あちこちの住民から出た質問に、
半年たってもまだ同じ回答をしており、
要するに、
「検討します」「調査します」との回答はリップサービスであり、、
何の検討も調査もされていないと感じました。
何よりも、
委員の先生たちが、
「このままだと住民は納得しないだろうから、ちゃんと説明してわかってもらった上で事業をやりなさい」
といさめていたのが印象的。
住民の間には多くの反対意見があり、委員の先生方も準備書の不備についてこんなにたくさん指摘しているにもかかわらず、
風車が立つことは規定路線なのでしょうか?
松阪市 海住さつき