こんにちは。松阪市の海住さつきです。
松阪市は、東京23区全体よりも面積が広く、
名古屋市がすっぽり2個入る大きさに、
16万人が住んでいます。
平成の大合併で、嬉野、三雲、飯高、飯南と松阪が合併し、
松阪市になりました。
嬉野、三雲、飯高、飯南の役場は、
それぞれ、地域振興局と名前を替え、
単なる出張所や支所ではなく、
あくまで「地域を振興する」という目的で残されました。
ですが、
- 松阪市全体で人事異動されるので、それぞれの地域に詳しい地元出身の職員さんが振興局に少なくなった。
- それでも、がんばって地元になじんでもらい、地名も覚えてもらえたな~というタイミング(だいたい3年周期)でまた異動があるので、ベテランの職員さんが育たない。
- 本庁(松阪市役所)に予算を握られているので、振興局独自で何かをしたいと思っても、自由に使えるお金がない(とみんな思っている、真偽のほどは定かではないけれど)。
- それぞれの振興局で、合併前からもっていた独自予算(例えば、地元の祭りに対する補助金など)は、公平性の観点から、旧松阪市に合わせるということで、削られることが多くなった(そのため、存続が断念された祭りが多くある)
合併前は、役場は地域の人々に親しまれ、何かと人々が集まり、職員さんも交えて、熱い議論が交わされたこともあったとのことですが、最近では、すっかり、職員さんの数も減り、役場に行っても何も楽しいことはないので、ほとんど行かなくなったとのこと。
特に、飯高、飯南地域の方は、合併してから、見捨てられたような気持ちがするとおっしゃる人が多い。
たしかに、人口比でみると、飯高、飯南を合わせても、8192人(令和元年5月15日現在)で、松阪市全体の人口164,018人の4.9%に過ぎません。
松阪市全体 | 男 | 79,125 |
女 | 84,893 | |
計 | 164,018 | |
【本庁管内】 | 男 | 58,217 |
女 | 62,478 | |
計 | 120,695 | |
【嬉野管内】 | 男 | 9,564 |
女 | 10,243 | |
計 | 19,807 | |
【三雲管内】 | 男 | 7,411 |
女 | 7,913 | |
計 | 15,324 | |
【飯南管内】 | 男 | 2,226 |
女 | 2,372 | |
計 | 4,598 | |
【飯高管内】 | 男 | 1,707 |
女 | 1,887 | |
計 | 3,594 |
現在、飯高、飯南からは、市民の代表である市議会議員も出ていないのが現状です。
ですが、単純に人口比だけで予算付けをするべきではないと思います。
今、飯高、飯南を歩くと、どこへ行っても、空き家だらけ、子どもがいない、若者が出ていくという三重苦。
けれども、地元の人は手をこまねいていたわけではありません。
小学校はどんどん統合され、スクールバスで毎日、通学しなければならない不便に耐え、
市内の高校に通うためには、年間20万円ほどかかるバスの定期券を購入するか、あるいは、高校の近くに子どもを下宿させるかして、必死で教育をしてきたはず。
そうやって、手塩にかけて育て上げた子どもが就職する時になると、子どもの将来を考え、地元に帰ってきてほしいという気持ちにふたをし、都会や、あるいは海外へと送り出してきた。
そして、今もなお、獣害被害に遭いながら、農業や林業を支えている方たちの努力がなければ、
豊かな自然も作物も、文化も伝統も守られることはありません。
そんな歴史から目をそらし、経済の理論だけで切り捨ててしまったら、何もかもが失われてしまう。
私は、まだ、現役として後世に継承していくことのできるお年寄りがいらっしゃる今が、人口減少で過疎化のすすむ「へき地」とよばれる地域が生き残るぎりぎりのタイミングだと思います。
昔ながらの「長男が後継ぎとして地元に残る」形式で次世代に継承する方法は失敗したかもしれませんが、家族関係ではない外からの人材で、産業を支えていく道を模索すべきだろうし、
文化に関しては、都市化がすすみ、人と人とのつながりが失われつつある今だからこそ、田舎にまだ残るぬくもりに価値を見出す人は必ずいる。
まずは、松阪市内の小学生、中学生に田舎暮らし体験をしてもらい、さまざまな分野の名人であるお年寄りに先生役を引き受けていただくことで、消えかかっている文化や伝統の良さを次世代に伝えていくこと。
林業、農業に関しては、海外に販路を見出すなどして、起死回生を図ること。
飯高、飯南は、松阪市の宝です。
合併なんかしなければよかった、そんな声がなくなるように、
全力で支えてまいりたいと思います。
松阪市 海住さつき